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エポキシフィルムー熱可塑性と熱硬化性

 エポキシ樹脂(EP)でフィルムが作れると、いろいろな製品ができます。でも、熱硬化性樹脂でフィルムが作れるのはポリイミド(PI)ぐらいです。それ以外はポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)などの熱可塑性樹脂を使ったフィルムです。

 また、ポリイミドは熱硬化性樹脂とはいっても、エポキシ樹脂やフェノール樹脂(PF)のように三次元架橋はしていません。ポリイミドはその前駆体のポリアミド酸を加熱して作りますが、加熱すると脱水縮合して剛直になり、溶融する温度が分解温度以上になってしまうので、加熱しても再溶融せず、熱硬化性樹脂に分類されます。あまり剛直でない骨格のポリイミドは融点が分解温度以下なので、加熱すると溶融するので、熱可塑性樹脂に分類されます。しかし、どちらのポリイミドも三次元架橋はしていません。直鎖状の主骨格が絡み合っているだけです。

 ということで、ほとんどのフィルムは熱可塑性樹脂なので、三次元架橋している熱硬化性樹脂と比較してみます。

 

 

 この比較をみると、熱可塑性樹脂の特徴は、直鎖状高分子が絡み合うことで発現することが分かります。また、熱硬化性樹脂の特徴は、主鎖が三次元架橋することによるものだということがわかります。

 エポキシ樹脂を使ってフィルムを作り、それを三次元架橋すれば、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のいいとこどりができるのではないかと考えました。

 

出典:柴田勝司, 他3名;"多層プリント配線板用エポキシ接着フィルム" , 日立化成テクニカルレポート, 第20号, P.15 (1993)

 

 エポキシ樹脂でフィルムができれば脆くなりません。すなわち、耐衝撃性が向上することになります。そして、エポキシ樹脂の主鎖に多量に存在する二級アルコール性水酸基を架橋点にすれば、三次元架橋して耐溶剤性が向上し、ガラス転移温度(Tg)が上がって耐熱性も向上します。