エポキシ樹脂フィルの合成原料として、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)のn=0と二官能フェノール類を選びました。二官能フェノール類としては、まずはDGEBAの原料でもあるビスフェノールA(BPA)を選びます。
これらの原料を交互共重合させて、フィルム化が可能な分子量100,000~1,000,000にするために必要な原料の純度を推定してみます。
DGEBAとBPAを交互共重合させて分子量100,000~1,000,000の重合体を得るためには、平均重合度(繰り返し単位)が200~2,000、DGEBAとBPAの純度がそれぞれ99.0%~99.9%であることが必要です。
エポキシ樹脂の純度を上げるためには分子蒸留法しかありません。1990年頃にDGEBAの分子蒸留品として市販されていたものは、三菱油化(株)のEP-825、東都化成(株)のYD-8125、ダウ・ケミカルのD.E.R.332しかありませんでした。これらの製品をカタログと、グラジエント高速液体クロマトグラフィー(GHLC)による純度実測値を比較しました。
その結果、エポキシ当量とGHLCによる純度測定から、東都化成のYD-8125がn=0の含有量が99.0%を超えていたので、使える可能性が高いことが分かりました。
現在はメーカー名と商品名が変更になっている製品もありましたので、最近のカタログから、新旧名称比較表を作りました。
フェノール類の原材料であるBPAは関東化学、和光純薬の特級品は、GHLCによる純度測定の結果、いずれも99.0%を超えていたので、そのまま使用しました。
他の二官能フェノール類、例えばヒドロキノン、ナフタレンジオールなどは純度が低かったので、メタノール、エタノール、2-プロパノールなどのアルコールを主に用いて再結晶しました。しかし、純度の低いフェノール類は空気で酸化されやすいので、再結晶後24h以内に使用しました。
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