2年ほど前に書いた「エポキシ樹脂-硬化剤ジシアンジアミド」の続きです。これまでに提案されている反応機構を紹介します。 一般的には以下の反応式ような、アミノ基の活性水素だけが反応すると考えられます。
エポキシ樹脂(EP)と硬化剤を評価するためには、硬化物の色々な物性を評価する必要があります。硬化剤を固定してEPの種類を検討するときも、EPを固定して硬化剤の種類あるいは配合量を検討する時も、いつも同じ方法で硬化物を作らないと比較できません。 今回は簡単にできる樹脂板の作り方を紹介します。
2020/02/19-20に台北市で行われた三建産業情報社のセミナーで、エポキシ樹脂の基礎知識に関する練習問題を作成して欲しいとの要望がありました。 ご興味のある方は、解いてみてください。 正しいものをお選びください。正解はひとつとは限りません。 (1) 熱硬化性樹脂の特徴 a. 硬化の際に重合反応が起きる. b....
エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を用意した後、硬化反応あるいは硬化物を評価する必要があります。...
エポキシ樹脂の硬化剤については、フェノール系、酸無水物系、アミン系の硬化剤に分けて紹介しました。今回は硬化促進剤の紹介です。 硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤を混合したワニスや粉体などに混ぜて、硬化反応を促進するために使われます。硬化剤と硬化促進剤の主な違いは以下の通りです。 ◎硬化剤 ・硬化物の主骨格を形成する....
エポキシ樹脂の三大硬化剤のうち、アミン系硬化剤を最後にご紹介します。 エポキシ樹脂の研究開発者にとっては、この硬化剤が最も身近にあり、最初に使ったのがアミン類という方が多いと思います。私の場合もそうでした。潜在性硬化剤として有名なジシアンジアミド(DICY: Dicyandiamide)とジアミノジフェニルメタン(DDM:...
次は酸無水物です。フェノール系硬化剤と最も違うのは、液状の化合物もあるので、液状エポキシ樹脂と組み合わせて無溶剤ワニスが作れることです。これによって注型という成形法が使えます。また、含浸法も溶媒を飛ばす必要がないので、工程が簡単になります。注型成形というのは、予め成形型を作っておいて、そこに樹脂を注入してから加熱して硬化させる方法です。 1998年の統計では、世界で使われている酸無水物の液状と固形の比率は、94:6だそうです。(出典:エポキシ樹脂技術協会編, “総説エポキシ樹脂”, 第1巻, エポキシ樹脂技術協会, p. 157 (2003)) エポキシ樹脂の硬化剤として使われる代表的な酸無水物は以下のような化合物です。
三大硬化剤のうち、フェノール系硬化剤を最初に紹介します。なぜ最初にフェノール類を紹介するかというと、これで硬化させると原料のエポキシ樹脂に最も似た構造になるからです。汎用エポキシ樹脂といわれるビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA:Diglycidylether of Bispenol...
今回は、数あるエポキシ樹脂用硬化剤のうち、私が勝手に三大硬化剤といっているアミン類、酸無水物、フェノール類について説明します。 まず、これらの硬化剤が、エポキシ樹脂の教科書でどのように取り上げられていたか、みてみます。下のグラフは有名なエポキシ樹脂の教科書の中で、それぞれの硬化剤が説明されているページ数をグラフにしたものです。
エポキシ樹脂は他の樹脂とは大きく異なる特徴があり、それがエポキシ樹脂の理解を妨げているように思えます。エポキシ樹脂は硬化剤の種類によって、硬化物の高分子構造が大きく異なります。そして、硬化物にはエポキシ基は含まれていません。ですから、「エポキシ樹脂」は原料の名前であって、硬化物を「エポキシ樹脂」と呼ぶのは混乱を招きます。...